スクリューリテイン(人工歯)
スクリューリテイン(人工歯)
こちらの動画をご覧いただければ、スクリューリテインについてご理解いただけると思います。
従来からある装着様式です。スクリューリテインが考案されるまではセメントで上部構造(人工歯)を止める方法しかありませんでした。現在でもよく用いられています。
セメントリテインの弱点を補うために考案された方法です。セメントを使わずにスクリューの力でインプラントと結合する様式です。当院ではほとんどの症例をスクリューリテインで行います。
アバットメント(銀色の突起物)に人工歯を接着剤でつけていく様式です。
本止めをする場合は、外れないのが利点でもありますが、何か不具合があった場合には人工歯を壊さないと外れないというのが欠点でもあります。
そのため、仮の接着剤で仮止めする歯科医師もいます。利点は何かあったら外せることで、欠点は人によっては頻繁に外れてしまうことがあることです。または外そうとした時に仮止めがガッチリついてしまっていて狙い通りに外れないこともあります。
①人工歯の構造が単純になるためスクリューリテインに比べると安価に製造ができます。
②スクリューの穴が開かないので綺麗な見た目になります。
インプラントは天然の歯よりも歯周病菌に弱い。スクリューリテインが考案されたのは、セメントリテインの接着剤の残りがインプラント周囲炎を引き起こす可能性があるという問題の解決のためでした。スクリューリテインであれば接着剤の残渣はあり得ないことになります。
天然の歯であれば、歯根膜から白血球が出てきて、歯周ポケットに入ってきた歯周病菌と戦ってくれるんです。しかし、インプラントには歯根膜がないため、比較すれば免疫的に歯周病菌に弱く、進行がはじまると、通常の歯周病より進行が早いんです。簡単にいうとインプラントは天然歯より歯周病菌に対して弱い構造なんです。
ベルン大学の調査によると10年で約3%のインプラントがインプラント周囲炎になるという報告があります。
当院ではそのインプラント周囲炎の予防に力を入れております。そのインプラント周囲炎対策の一つとしてセメントで人工歯とインプラントを結合しないということです。
セメントは肉眼でどんなに見ても、インプラントと人工歯の連結部に多少残ります。その部分はガサガさしていますので、肉眼では見えるかどうかですが、
細菌の大きさのレベルからすると、珊瑚礁のように住みやすい環境を作ってしまうわけです。なのでスクリューリテインしか当院では行っていません。
①スクリューを締めます。
人工歯に開いた穴をアクセスホールといいますが、ここにスクリューを入れて、ストローマン社専用ドライバーで締めていきます。
②仮止め状態
インプラントブリッジをスクリューで止めるとこんな感じです。この状態では指で思い切り締めた仮止めの状態です。コンタクトのキツさや咬合の状態を微調整していきます。
③本止め
スクリューをトルクレンチで締めます。人の力の2~3倍の力で締めますので、なかなか緩まなくなります。
④アクセスホールをレジンで埋める。
アクセスホールを人工歯と同じ色のレジンで埋めます。これで穴が分かりにくくなります。
⑤咬合調整
アクセスホールのレジンは多少高くなりますので、再度咬合調整と研磨作業を行い噛み合わせを合わせます。
内藤が最も気にしているのがセメントの残渣によるインプラント周囲炎の発症です。スクリューリテインにしたからといってインプラント周囲炎が発生しないわけではありませんが、リスクの軽減にはなると考えています。
当院では、本歯製作の前に試し歯を入れて実生活の中で試していただくのですが、スクリューリテインでなくてはできません。
細菌だらけお口の中に人工歯を長期間取り付けるわけですから、インプラント周囲炎による歯肉の腫れは、あらかじめ想定しておいた方がいいと思います。また、数年後、他の歯を抜いた場合にインプラントを追加せずにブリッジを伸ばすだけで対応ができる場合もあります。
これは締め直してあげれば解決します。
ネジ穴にレジンを詰めて見えにくくしますが、数年経つと変色があります。下の奥歯だけこれが見えてしまいます。気にしない方がほとんどなのですが、気にされる方はセメントリテインにするしかありません。
人工歯に穴を開けて、かつその人工歯が割れないよう形態も計算して作らなければならないので、技工料金が高くなります。ですからセメントリテインでやればもっと安く提供できるのですが、私がスクリューリテインにこだわるため、1本総額(税抜)で25万円以下にはできないんです。
1本症例の方も多数歯症例の方も、全ての方にスクリューリテインで装着しています。(ごく稀にセメントリテインしかできない場合もあります。)
当院も以前はセメントリテインで装着をしておりました。セメントリテインをやめて、スクリューリテインに全てシフトしたのが平成24年の中頃でした。当時、セメントリテインのセメントの残渣による論文が出始めた頃です。
また、メタルボンドの欠けにも悩んでいましたのでそれを解決するためにジルコニア人工歯にシフトしたタイミングであったため、スクリューリテインにもシフトしました。
導入当初はアクセスホールの難しさに頭を抱えました。人工歯の中心にネジを入れる穴を開けるわけですから、以前のセメントリテインのクラウン形態とは比較にならないほど難しい技術でしたが、院内技工室を作り試行錯誤すること3年、平成27年頃には安定してアクセスホールが開いた人工歯の製作をすることができました。
今ではコンピューター内のプログラムで製作ができてしまいますので、さらに安定して人工歯の製作ができております。詳しくはこちら。