インプラントの失敗と対策 10年保証
インプラントの失敗と対策 10年保証
3か月後インプラントが骨と結合していない。
製作した人工歯の色や形態が口腔内になじまない。
手術後、数年してインプラント周囲の骨が溶けてインプラントが抜けてくる。インプラント問題の第1位はこれ。
治療後数年経過して、人工歯が壊れたりスクリューが緩んだりする。
サイナスリフト ソケットリフト
上顎の臼歯部は3~4割くらいの方の骨が薄く普通にインプラントが埋入できません。そのため、上顎洞という空間に手術で人工骨を置き、数か月後に人工骨が天然骨に置換することを期待する治療法です。
GBR
骨幅が狭い所にインプラントを置くときのテクニックです。インプラントを骨に埋めた後、インプラントが露出したところに人工骨を置いて、膜を被せて数か月後天然骨になることを期待する治療法です。
A)増骨手術は行っておりません
当院では骨の豊富な方に限定してインプラントを入れる方針ですので、そもそも増骨手術を行っておりません。増骨手術は手技が複雑なため感染のリスクもあり、インプラント手術の多くは増骨手術の失敗です。
下歯槽神経の損傷
下顎の奥歯をインプラントにするときに、下歯槽管という神経と血管が通る場所をドリルで損傷することにより、出血や知覚麻痺が起こります。 2007年には東京で、ドリリング時の出血により死亡事故も発生しています。この事故の後、インプラントは危ないという認識が広まりました。
CTを使ってシミュレーションをしてリスクを回避します
現在はCTで3次元的な骨の形態が正確に把握できます。0.1mm単位でのプランニングが可能です。 また、私は骨量が豊富な方にしかインプラントをしませんので、下歯槽神経ギリギリの入れ方をする必要がありません。
シミュレーション例
当院で行うインプラントで最も短いインプラントは8mmの長さのインプラントです。CTを撮影しシミュレーションをして、下歯槽管までの距離を正確に測ります。安全に2mm以上の余裕を持たせる計画ですので、最低10mmの骨の深度がない方はインプラント手術を行いません。つまりはじめから下歯槽神経に届かないインプラントしか使用しておりません。
A)発生確率は非常に低いと考えております
この様に、下歯槽神経まで十分な距離のある方だけ手術をしております。神経までの距離も15mmとか、20mmとか余裕があり、かつ骨幅も10mm、15mmなど余裕がないとインプラントをおすすめしておりません。
インプラントが上顎洞に入ってしまうこと
上顎骨の臼歯部には上顎洞という空洞があり、この空洞が大きい小さいは生まれつき個人差があります。上顎洞が大きな方は骨が薄いということになり、インプラントを打つには骨に厚みが足りません。例えるならベニヤ板にネジを入れるようなもので、押し込むと中に入ってしまいます。 薄い骨に無理にインプラントを入れると、ちょっとした衝撃でインプラントが上顎洞に入ってしまい、取り出しにくくなってしまいます。 サイナスリフトやソケットリフトの手術後、数日してインプラントが上顎洞の中に入ってしまって、くしゃみをしたときに、鼻からインプラントが出てきたという事例もあります。
上顎洞まで骨の厚みのある方限定で手術をしています
CTにより上顎洞までの距離を測定しておきます。当院でもっとも短い8mmでも上顎洞には届かない場合のみ手術を行う方針です。よって当院にて上顎洞迷入のリスクは低いと考えており、過去に一度もございません。
A)発生確率は非常に低いと考えております
このように骨に厚みがあり、インプラントを固定するのに十分な骨量のある方だけ手術をしております。 インプラントの穴の底は骨の壁が確保されているわけですから、上顎洞に抜ける確率は非常に低いと考えております。
100本中3本は骨とくっつかない
インプラント手術をして当院では3か月待つのですが、3か月後骨とくっつく(インテグレーション)のは100本中、約97本であり、約3本はインテグレーションをしません。つまり3本は失敗ということになります。この数字は現在のインプラント治療においては妥当な数字です。
失敗3%の多くは術後1か月以内で抜けてしまう
インテグレーションの失敗のうちの多くは術後数週間で違和感を感じ、来院していただき確認すると大きな動揺があり失敗の診断が下されます。
抜けてくるときは痛みはほとんどありません
3か月以内に抜けてくるインプラントの多くは痛みもなく抜けてしまいます。出血もあまりありません。
なぜインテグレーションしなかったのか?
骨にドリルで開けた穴から固定したインプラントが動いてしまって、隙間に唾液が入り感染を起こすパターンが多いです。お口の中ですから動いてしまうこともあります。
A)インテグレーション率100%はありえません
当院において平成27年~30年までに1850本のストローマンインプラントを埋入しましたが、55本がインテグレーションをしませんでした。確率にすると2.97%が失敗になります。そのため「30本埋入して1本くっつかない確率です」と説明しております。 インプラント手術を受けるうえで同意いただきたいのは、手術を受けて3か月後全てのインプラントがインテグレーションをしているわけではなく、数%の確率で抜けてしまうので再手術が必要になるという点です。この数字はどの歯科医院、大学病院でも同じ水準で起こり得ますので、再手術の件もご納得のうえ、インプラント手術を受けてください。
抜けた後は再手術となります
インテグレーションをしなかった場合は、数か月待ってから再手術するパターンと、すぐに再手術するパターンがあります。治療費の追加はございません。 再手術の成功率も97%ですから、何回も失敗することは確率的にみて非常に小さな数になります。
人工歯の噛み合わせが悪い
実はこのトラブルはかなりあります。
試し歯を入れていただく
まずはプラスチックの試し歯を製作し、患者様に装着して数日間ご使用いただきます。このプラスチックの歯はコンピューター上のCADで設計して削り出したものです。使用していただいた中で問題点があれば、お話を伺い、2代目の試し歯を製作して再びsetしてご使用いただきます。
A)試し歯で理想の形態を見つけてから本歯の製作を開始します
試し歯を使用していただき、患者様からのOKをいただいてからその形態で製作できますので、イメージ通りの理想的なジルコニア人工歯ができあがってきます。
インプラント周囲炎にならなければインプラントは長持ちします
インプラントを入れて数年後、インプラントの周囲の歯肉が腫れてきたり、骨が溶けたりする疾患のことです。
抜けるインプラント周囲炎の進行が進むと最終的には抜けてきます。歯周病と同じ末路を辿ります。
京セラ製の抜けたインプラントを入れて4年後、
ということくらい。
京セラ製の抜けたインプラント手術から、5年で抜けてきてしまった。クリーニングは半年に1度は受けていたのにインプラント周囲炎になってしまった例です。 抜けてから、骨が回復する期間(5か月)待って、ストローマンインプラントで補償しました。 現在はインプラント周囲炎の兆候もなく、快適に過ごされています。
①正常な状態のインプラント
正常な状態では、インプラントは骨と結合しています。この状態を維持する限り、インプラントが骨から抜けることはありませんので、生涯長持ちするはずです。
②インプラント周囲炎の起こり
インプラント周囲炎は、歯肉から起こります。歯肉と人工歯が少し剥がれてポケットが生まれます。そして歯肉炎も見られ、軽い出血もありますが、自覚症状はほとんどありません。このポケットには細菌がたまりやすくなります。
③徐々に進行
進行すると歯肉の炎症から、骨の炎症に発展してきます。骨が融解していき、歯肉も腫れが自覚できるようになります。インプラントの周囲には深いポケットが発生し、細菌の隠れ家となります。あとは歯周病と一緒で、細菌をポケットから清掃で追い出すしか、インプラント周囲炎の進行を食い止める方法がなくなります。
④進行期
さらに進行すると排膿してきます。歯ブラシをかけると出血してくる日もあれば、出血がおさまる日もあります。
⑤出血と動揺
末期になると咬合痛が生じ、インプラントが揺れてきます。骨とインプラントが接している部分もほぼなくなります。痛みは少ないことが多いです。
⑥最終的には抜けてきます
歯周病と同じ末路を辿ります。ここまでなるには数年かかります。
当院で起きたインプラント周囲炎の例です
京セラ製インプラント手術して5年後、インプラント周囲を歯ブラシすると出血が見られるようになったので、レントゲンを撮影しました。 すると、インプラント周囲の骨が黄色のラインで示すように融解していました。
細菌が入らないように清掃を3か月に1度行いました。症状は一進一退を繰り返しましたが、完治することはありませんでした。
さらに4年後、動揺が強くなってきました。
最後の1週間は噛むと痛みがあり、グラグラと動揺がしてきて、来院されました。インプラント周囲炎の末期と説明し、麻酔をして、指で挟んで簡単に抜けてきました。
インプラント周囲炎は激烈な症状(痛み、腫れ)があるわけではありません。血もほとんど出ません。
9年半で抜けてきたインプラント。
インプラント周囲炎の末期のインプラントは大変な手術をして撤去するわけではなく、むしろあっけないくらい簡単に抜けてしまいます。
抜けてきた部分の骨は、半年すると元の状態になりますので、今度はストローマンインプラントを打ち直すことになりました。当院では10年以内に抜けてしまったインプラントは無料で打ち直します。
インプラント周囲炎とは、インプラントと歯周組織(歯肉、骨)との間に、歯周病と同じ細菌が引き起こす感染です。よってインプラントが抜けてしまえば細菌が介在する隙間はなくなり、インプラント周囲炎が成立しなくなります。要するに細菌の侵入経路が遮断されるわけです。 感染炎症がなくなれば、吸収された骨はまた一定の高さまで戻ってきます。この期間は目安として6か月前かかります。
インプラント周囲炎が大きく骨吸収が大きい場合、骨が戻りにくいことがあります。つまりは骨の高さが低くなってしまうこともありますし、以前と同じ高さまで戻ることもあります。 大きい周囲炎ほど治癒に時間はかかりますので8か月、10か月待っていただく場合もある可能性はあります。 6か月後、骨の高さがインプラントを入れるのに問題ない骨量となれば、もう一度インプラントを入れることができるし、もう入れ歯でもいいやと思えば入れ歯を作ってもいいかと思います。
ストローマンインプラントが10年以内にインプラント周囲炎を発症する確率は1.8%。当院でもこの程度のインプラント周囲炎が発生しております。
ストローマンインプラントが10年後に残っている可能性は98.8%です。
つまり100本入れたインプラントのうち1本か2本は10年後までに抜けてくるという確率です。これを高いと見るか低いと見るかは個人の主観によっても違ってくるのですが、ブリッジと比べてみましょう。
メタルブリッジを入れて10年後、口腔内に残っているのは3割くらいということです。7割は何らかの理由でなくなってしまったということです。
(※口腔衛生会誌 J Dent Hlth 58:16-24,2008 圈 臼歯部修復物の生存期間に関連する要因 青山 貴則 相田 潤 竹原 順次 森田 学)
出典元はこちら
他の歯科技工物同様にインプラントもダメになることはありますが、データを比較してみると長持ちする確率は非常に高いと言えると思います。
インプラント周囲炎の予防には3~6か月に一度の歯科医院にてのクリーニングが大切です。普段、ご自身では取りきれないプラークを歯科衛生士に取ってもらいましょう。
上記のデータはストローマンインプラントを、第三者機関であるITIが追跡調査をした結果ですので信頼性の高いデータです。このような信頼性の高いデータがオープンになっているメーカーは非常に少数です。 しっかりとした学術的根拠(エビデンス)を持っているインプラントメーカーを選びましょう。
人工歯とインプラントを接着剤で固定するのではなく、スクリューで固定する方法をスクリューリテインと言いますが、早期のインプラント周囲炎が起きた場合、人工歯を外して清掃がしやすいので治療に有利に働きます。 また、セメントリテインの場合は接着剤が残ってしまいプラークが溜まりやすいのに比べ、スクリューリテインはセメントの残渣は起こりません。
従来よく人工歯として使用されていたメタルボンドは、長期間でみると破折が多いため、当院では全てジルコニアで人工歯を製作しております。
失敗と言えるかわかりませんが、数年に一度人工歯のスクリューが緩んで人工歯が動揺することがあります。当院では人工歯の装着にスクリューリテインを採用しております。その場合は、ご来院いただきスクリューを締めさせていただければすぐに治ります。
ストローマン社のインプラントパスポートというカードもお渡しします。これは患者様の治療に使ったインプラントやアバットメントに関する記録(製品名、製品番号、ロット番号)などの情報が記載されています。
ストローマン社のHPの製品確認ツールにインプラントやアバットメントの製品番号を入力いただくと、間違いなく正規品であることが患者様ご自身によってご確認いただけます。これは大きな安心にもなると思います。
インプラントパスポートを持っていれば、当院でストローマン社製のインプラントのどのような規格の物を入れたのか検索できます。お引越しなど患者様の事情により、当院で入れたインプラントを他院にて治療をしなくてはならなくなったとき、このパスポートを提示していただければ治療の引き継ぎがスムーズに行きます(料金は他院で別途かかります)。
当院にも他院で入れたインプラントにトラブルがあり来院される方がいらっしゃいますが、メーカーすらご存知ない方が多いのです。インプラントは実はメーカーごとにネジ山に合うドライバーの形が異なるのです。すると、はずせないし締められないしとても困ることがあります。インプラントパスポートをお持ちなら、そのようなことはなく安心していただけると思います。
製品確認ツール
なぜあなたはそこの歯を失ったのでしょうか?磨ききれなかったからです。その後磨き方を変えたでしょうか?ほとんどの方が変えていないでしょう。するとインプラントの周囲にはプラークが付きます。するとインプラント周囲炎になります。これがインプラントが長持ちしない最大の理由です。
インプラント周囲炎になる前に歯科衛生士にプラークや歯石を取ってもらってください。第三者の目から見て取らないとプラークは取りきれません。ご自身で頑張って磨いたつもりでも、同じところばかりを磨いているだけで、プラークを落とせないところはずっとプラークが溜まっているわけです。
最低半年に一度は、クリーニングにいらっしゃってください。