抜歯をおすすめする場合
- 2022年2月22日
- 一般歯科
現在、かかりつけの歯医者さんで、その歯はもう抜かなければならないよと言われて迷っていらっしゃる方へみていただきたい内容です。
いつもは歯をなるべく抜かないようにすることが大事だと思っているので
根管治療をしたりさし歯にしたり噛み合わせを落としてなるべく噛まないようにしたり歯牙固定をしてくっつけたりと、いろいろ歯を抜かない工夫をしているのですが、またとえ直せないことがわかっているレベルの歯でも患者さんの希望があれば抜かずにそのままにしておきます。これはもう抜かれる患者さんの気持ちを考えると自分でもそうしたいだろうなあと思うわけです。すごく気持ちが分かるんです。
ところが今回は、その歯は早めに抜いておかないと隣の歯も結果として抜くことになってしまいますよという場合には、理由を説明して抜くことを強くおすすめする場合があるというお話をしようと思います。
例えば、一例として、6番が歯根破折を縦に深く起こして、治療が不可能な症例です。ここまででしたら治せはしませんが、すぐに抜くということもおすすめいたしません。しばらくそのまま様子を見るかと思います。しかし、骨の融解が大きくなってしまっていて隣の歯(5番)に到達しそうだという場合、実は歯が割れてしまいますと唾液の流れと一緒にお口の中にいる細菌がヒビの中に入ってきます。毎日毎日少しずつ入ってしまうので中で当然感染炎症を起こします。炎症が起きた時に免疫の力で抑えられる場合には慢性の状態を保って何年もその状態を維持する場合もあるのですが、免疫の力で抑えられない場合は骨が融解(骨が溶けてしまう)が進行してしまうことはよくあることなんです。つまり骨の融解が進行してしまう場合には、6番は早く抜くべきがという風に思います。6番の抜歯を嫌がって、結局、5番・6番の両方んの歯が抜歯になってしまったら、これはもう最悪の結果になります。他の歯に迷惑をかけないのであれば、たとえボロボロの歯でも、グラグラの歯でも、多少膿が歯肉から出ていても抜歯を私からおすすめするなことはありませんし、慢性の状態で平衡を保ってしまうと何年も問題がないなんてことはよくありますので、積極的に抜く治療は決しておすすめ致しません。しかし、このままにしておいたら、5番は6番の巻き添えになるよという場合には私は抜歯を強くおすすめいたします。中にはおすすめをしても同意できないよという患者様もいらっしゃいますので無理矢理抜くことはないのですが、6番はそのままにしておくということは患者様にとって結果大損ですよということを申し上げて説明します。「先生が言うならそうするわ」となるか「いやーそれ抜きたいだけでしょ」となるかは患者様の性格もありますし、担当歯科医師との相性もありますし、お付き合いの年月もあるかと思います。そういった意味で平時の治療の指定というのは大事だと思うのですが、初診で初めてお会いした時にこういう抜歯の状態のお話をしなくてはいけない、こういうケースは非常につらいです。患者様の同意を得た後、抜歯を致します。抜歯をすると骨に抜歯窩(ばっしか)という穴が開きます。炎症によって骨が溶けてしまっている部分もあります。抜歯窩と溶けた骨の部分は半年ぐらいで徐々に埋まっていきます。ヒビがなくなったため、細菌が入ってこられなくなると自然に骨が治っていくのです。完全にわからなくなるところまで埋まる場合もあれば、なんとなくくぼんで治ってしまうという場合もあります。この辺りは多少個人差があります。いずれにしろ、抜いた時点で骨の融解(骨が溶けていく現象)は止まります。そして歯を抜いた後、抜歯窩はおおよそ埋まってしまいます。抜いた時点で感染炎症という病気の状態はなくなりますので、あとは噛めないという病気ではなく、不便を解消するためにインプラントや入れ歯・ブリッジなどを検討していくのがよろしいかと思います。今同じような状況に置かれている方ならばお分かりいただけるのではないのでしょうか。今抜きたくない方の歯を抜くと歯医者との信頼関係が壊れることもあります。信頼関係を構築する意味においてもお話から丁寧に伺って患者様の希望をできるだけ汲み取り抜く必要のない歯は抜かないことは非常に大事なことです。ただこのままだと隣の歯を巻き添えにしてしまうような大きな炎症に発展してしまっている場合には歯を抜くことをお勧めしなくてはならないこともあると思います。
横浜近辺でお住まいで歯でお悩みの方、丁寧にお話をお伺いいたしますので、是非、医療法人社団横浜歯友会 戸塚駅前内藤歯科へご相談ください。