歯を抜いたあと何もしない選択ってどう?
- 2022年6月28日
- 一般歯科
歯を抜いたあと、入れ歯?インプラント?ブリッジ?それとも何もしない?この選択で悩まれていらっしゃる方多いかと思います。今回は中でも抜いたあと何もしないという選択について深掘りしていこうと思います。
<注意事項>
「抜いたあと何もしない」という選択は歯科医師によっても意見が分かれるところなので今回の説明に関しては、私の一臨床家としての見解ということでお聞きになってください。もしかかりつけの先生と意見が違ってしまったら、あなたのことをよくご存知のかかりつけの先生の意見を優先するようにしてください。理由は、抜いたあと何もしないという選択は、学術的な根拠やデータだけではなく、あなたの性格や個人的なお口の中の情報も加味されて選択するものですから、あなたの性格やお口の中をよく知るかかりつけの先生の方が性格な判断ができるはずだからです。
抜歯後、抜いたまま何もしないをことを欠損放置と言いますが、この欠損放置を積極的に選択することはそもそも少ないと思います。なんとなく放ってある方が多いかと思います。たとえば入れ歯を作ったけど異物感が大きくて、面倒でつけなくなって、結果として、現在、欠損放置の状態になっているとか、歯を抜いあと、諸事情により歯医者さんに行かなくなって、結果として、現在、欠損放置の状態になっている、とかそんな感じが多いかなと思います。
欠損放置のデメリットは、ご存じの方多いと思いますが、抜いた歯の周りの歯が 動いてしまうことなんです。
例えば下の6番を欠損放置しておくとこんな感じになります。
周りの歯が動いてしまいますと場合によっては結構大変で、歯科矯正で元の位置に戻すのも一苦労です。ひどく動いてしまうとたった1本で片側の歯並びがガタガタに大きく崩れてしまうこともあります。後で思い立ってインプラントを入れたくても上の歯が出てきてしまい、できない可能性もあります。これが欠損放置をしない方が良いと歯医者さんがいう理由です。しかし、欠損放置をしても周囲の歯がほとんど移動してこない場合もあります。
例えばこんな方もいらっしゃいます。
右下の7番を抜歯後何年経っても上の歯が下におりてこない。この方はこれで不自由を感じていないわけです。こんな感じであれば欠損放置で何の問題もないわけです。実は欠損放置をしてどのくらい周りの歯が動くのか、予想するのは歯医者さんでも不可能なんです。全く動かないのか、少しだけ動くのか、いや、ガタガタに大きく動いてしまうのか、わからないんです。動いたかどうかは結果論です。時間が経過してはじめてわかることなんです。
私も20年近く歯医者をやっていますけど、すごく動いてしまって歯並びがガタガタになって後悔している方も見てきましたし、あまり動かない方も見てきました。
では、何割くらいの方が動いてしまうのか、私自身はきちんと数えたことはないので、書籍や文献を調べてみたのですが、答えに該当するものは残念ながら見つかりませんでした。そこで私の肌感覚で申し訳ないのですが、動かない方よりも、動いてしまう方の方が多いような気がいたします。つまり、少なくても半数以上の方は欠損放置をしていれば、動いてしまうのではと考えています。すると欠損放置をして、動かない方にかけてみると言う選択をすると言うは分の悪い博打のようなものです。「先生、入れ歯もブリッジもインプラントも嫌なんです。抜いたあと何もしたくないのでこのままでいいですか?」とご質問があった場合に 私ならこう申します。「動かない方にかけるのは博打みたいなもので動いてしまった場合に、後でなおそうとしたら、それこそ大変ですからあなたのためを思うと 欠損放置はあまりオススメできないんですね。できれば保険でいいから入れ歯を作っておきませんか?昼間つけるのが嫌でしたら夜寝ている間に例え週2、3回でいいから付けておくと歯並びはあまり変わらないと思います。これで手を打ちませんか?」とまずは欠損放置をしないようにすすめます。
しかし、それでも嫌なようなら、「2、3ヶ月に1回くらいきてもらってクリーニングなどのついでに歯が動いているか経過を観察していくっていうのはどうでしょう。もし動くようなら何か早めに対策したほうがいいし、動かなければそのままで問題ないです。」と申し上げます。くどいようですか、自己流で欠損放置をするのはやめた方がいいのではと思います。ただし、歯によっては欠損放置しても問題のない歯もあります。
歯の番号別に見ていきましょう。
まずは、親知らず8番目の歯です。
これは当然ですね。そして、意外なのが、上の7番。下の7番ではないですよ。上の7番。右と左に1本ずつあるのですが、これも抜いたままで問題のないことがほとんどです。
上の7番を抜いたあと「不便になったからインプラントをして。」とおっしゃる方もいることはいたのですが、非常に少ないです。理由を説明します。かみ合わせというのは下の5番と上の5番、下の6番と上の6番というふうに同じ番号同士が噛んでいるわけではないんです。
下の6番は上の56番、下の7番は上の67番と噛んでいるので、半分ずつずれているわけで、すると上の7番は前半分しか下の7番と当たっていないわけです。
簡単に言うと上の7番はもともとあまり仕事をしていない歯なんです。ですから、上の7番がなくなっても困らない場合が多いのです。上の7番抜いて、初めは少し寂しい感じもするのですが、しばらくすると多くの人が慣れて問題なくなってしまいます。
そして下の7番は上の6番と半分噛んでいるので、下の7番が上に伸びてくることもないです。そういうことで、上の7番は欠損放置で問題ない場合が多いです。
判断が難しいのは下の7番。下の7番は抜いたあと、噛み合わせが物足りないからインプラント入れたいっていう人と、別になんの不便も感じないっていう人がいて、不便を感じない人は欠損放置のままで良さそうな感じがしますが、上の7番が伸びてきてしまうことが多い。伸びてきて下の歯肉を噛んでしまうこともあって、そうなったら抜いてもいいやと考える方は別に欠損放置でもいいかもしれません。
しかし、私なら夜、週2、3回入れ歯を入れておくと思います。そうすれば上の7番は伸びてきませんし。そして6番、この歯は「咬合の中心」と呼ばれていて、歯の中で最も仕事をする歯です。
たとえば右下6番を失うと右側では噛めなくなるので、左ばかりで噛むようになります。たとえば左上6番を失うと左側では噛めなくなるので、右ばかりで噛むようになります。このように上の6番でも下の6番でも噛み合わせに大きな影響が出るので入れ歯、インプラント、ブリッジのどれかにした方がいいと思います。欠損放置をするとこんな感じになる可能性がありますし。4、5番は小臼歯といって6番ほどはつかわないんだけど、欠損放置をしていると6番と同様に動いてくる可能性があるので欠損放置はおすすめしません。
123番は前歯なので、若い人でここを欠損放置する人は少ないのですが、年配の方では、ご本人様が「もういいよ。俺、年だし。」という方はいらっしゃいますので無理に治療をおすすめはしていません。今回記事で書いてあります欠損放置については、詳細を当院HP内で動画と併せて記載しておりますので、こちらからご覧ください。
前歯は噛み合わせによっては、削らないブリッジ「ダイレクトブリッジ」というものもできるあります。ダイレクトブリッジについては当院HP内にも記載しておりますので、こちらからご覧ください。このように抜いた歯の番号によっても欠損放置の考え方は違ってきます。また同じ歯の番号でも、患者様の性格やパーソナルな噛み合わせに方によっても欠損放置の考え方は違ってきます。みなさんはどう思いますか。
これから、抜歯後の選択をされる方、信頼できる、かかりつけの先生とよくお考えください。あなたの性格や噛み合わせを見て、一生懸命考えてくださると思います。しかし残念ながらまだ、信頼できる先生がまだ見つかっていない方、よろしければ、横浜市の戸塚駅東口から徒歩1分にあります医療法人社団横浜歯友会 戸塚駅前内藤歯科にご来院ください。インプラントを検討されている方やお口の中の悩みをお持ちの方、口臭でお悩みの方、当院へご相談ください。インプラント相談は無料で行っております。詳細につきましてはこちらからご覧ください。